・どうして熊手なの?
どうして熊手なの?
酉の市では縁起物を買う風習があります。
酉の市の露店ではおかめや招福の縁起物を飾った「縁起熊手」が売られています。
しかし、どうして酉の市で熊手などの縁起物が売られるようになったのでしょう?
これは農耕祭が関係していると思われており、昔は、秋の収穫が終わると、次の年の耕作の準備として土をならしたり葉かきをしました。
そのため収穫後に行われる酉の市には熊手や鋤、鍬といった農具も売られていたんです。
おおとり神社の鷲=ワシ、熊手=かき集める から 運をワシ掴みして、幸運を掻き込む縁起物となったようです。
その後、出世や商売繁盛など人々の願いが盛り込まれ、熊手を買い求める参拝客が増えていったそうです。
特に商売をしているところでは、店が大きくなることを願って年々大きな熊手に買い換えていく風習がいまでも見られます。
このときの熊手の値段は交渉しだいで決まるそうで、交渉成立となると手締めの音が境内に響き渡るんですよ。
関西で縁起物を買うなら十日戎(とおかえびす)になります。
十日戎とは恵比須神を祀るお祭りで、福笹が授与されます。
この福笹とは熊手の代わりに笹に縁起物の小判や大判などの細工物をつけたものです。
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ところで、この酉の市、年に2回ある月もあれば、3回ある月もあります。
昔から「三の酉のある年は活気がありすぎて火事が多い」と言われています。
これは、下谷長国寺から独立した大鷲神社が吉原遊郭の直ぐそばにあったことが謂れの一つではないかと言われています。
酉の市では吉原の縁起にちなんでオカメの熊手も売られるようになったそうです。
そして、吉原の大門も四方をあけて手軽に入れるようになったことから「酉の市の帰りにちょっと吉原へ・・・」と足を向ける男性が多くなり、女房はどうにか旦那を吉原へ向かわせないようにとしたそうです。
「三の酉のある年は火事が多い」
「吉原遊郭に異変が起こる」
といった噂はこんな女房達が作った策なのかもしれませんね。
その証拠に、実際に酉の市の年に火事が多かったという記録はないそうですよ。
現在もこの風習が残っているため、三の酉があるときはいつもに増して、歳末にかけて「火の用心」が言われ、熊手にも「火の用心」のシールが張られて店頭にならぶそうですよ。
酉の市とは、元々秋の収穫物や実用の農具が並んだ近郊農村の祭りが都市の縁起物を売る祭りへと移行していったもののようですね。